
8月15日・16日、ABB FIA フォーミュラE世界選手権の第16戦・第17戦ロンドンE-Prixが、イングランドのロンドンで開催される。
チャンピオンシップ2位につけるミッチ・エバンスにとって、今週末は自身初のチャンピオン獲得を懸けた決戦であると同時に、10年間にわたってともに戦ってきたジャガーとの最後のレースとなる。
今季のタイトル争いは極めて僅差で、首位のジェイク・デニスとはわずか2ポイント差。3位のパスカル・ウェーレインにも3ポイント差をつけるにとどまっている。9人がチャンピオン獲得の権利を残すなか、優勝候補として特に注目されるトップ3人のうち、エバンスだけがまだタイトルを手にしていない。
これまでフォーミュラEではランキング2位を2度、3位を1度経験しているエバンス。タイトル争いを経験してきたものの、最終的にチャンピオンに届いていない自身のキャリアが、今回の戦いでディスアドバンテージになる可能性について問われると、「それほど重要だとは考えていない」と語った。
「もし一度もこのポジションで争ったことがなければ、大きなディスアドバンテージかもしれませんし、初タイトルを目指すことはプレッシャーになると思います。でも、過去にも(チャンピオンに)近づいたことがありますし、自分にも達成できることだと理解しています」
ロンドンE-Prixは土曜と日曜の2レースで争われるダブルヘッダー。タイトルを手にするためには、2レースともに最大限のポイントを獲得する必要がある。
上位3人のポイント差がほとんどない状況について、エバンスはチャンピオンシップが実質的に「リセットされた」ものだと見通しを語った。
「ほとんど差がなく、リセットされたようなものです。ですから、2レースのシュートアウトになったようなものだと考えています」
そして、フォーミュラE史上最多勝利を誇るエバンスにとって、今週末はジャガー・TCS・レーシングとの10年間に及ぶ歩みを締めくくる舞台となる。
2016年にジャガーからフォーミュラEへ参戦して以来、16回の勝利をはじめとする輝かしい成績をチームにもたらしてきた一方、これまでタイトルにはあと一歩届かなかった。母国のレースを前に、エバンスは悲願のタイトルをジャガーとともに成し遂げたいという思いを明かした。
「この10年間、僕にこれほど多くのものを与えてくれたチームとともに、チャンピオンになりたいという気持ちが、自分を後押ししてくれています。もちろん自分自身のためでもありますが、チームのためにこれを成し遂げたいです」
エバンスにとってロンドンは、過去の苦い記憶が残る場所でもある。2024年のロンドンE-Prixでは、ウェーレインが自身初のフォーミュラEタイトルを獲得。エバンスはわずか7ポイント差のランキング2位でシーズンを終え、あと一歩のところで悲願を逃した。

「僕はこれまで何度も近づいてきましたが、あと一歩のところで成し遂げられていません。ロンドンに来ると…緊張する瞬間もあったことを思い出します。ここはパスカル(・ウェーレイン)にチャンピオンシップを奪われた場所です。去年も、チャンピオン争いではないものの、良い思い出にはなりませんでした」
「でも一方で、そうした経験から学ばなければいけません。今年はそうした悪い記憶を利用し、より強くなれることを願っています。過去にとらわれることもできますし、そこから学ぶこともできます。もちろん、常に頭の片隅には(悪い記憶が)あり…あの時期は、僕にとって受け入れることも、飲み込むことも難しいものでした。でも、うまくいけば、それが今週末に僕たちをさらに強くしてくれるでしょう。それができたかどうかは、これから分かります」
「だから、僕たちの旅を終えるには、これ以上ない形になるでしょう」
(文=矢野 巧)







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