
来シーズンからのABB FIA フォーミュラE世界選手権への新規参戦を表明しているオペル・GSE・フォーミュラEチームは、ドイツ人女性ドライバーのソフィア・フローシュとテストドライバー契約を締結したと発表した。
フローシュは今月末にフランスのポール・リカール・サーキットで開催される次世代マシン「Gen4」の公式発表およびテスト走行において、オペルの実車を初めてドライブする予定。これが母国ドイツのブランドとの本格的なプロジェクト始動となる。

オペルのチーム代表となるイェルク・シュロット氏は、「ソフィアの起用は、電動モータースポーツにおける若手育成に対するオペルの取り組みの象徴です。彼女の正確な技術的フィードバックと、シミュレーターおよび実走における分析能力は、我々のGen4開発において不可欠な役割を果たすでしょう」
「さらに彼女のフレッシュな存在感は、全電動ハイパフォーマンスモデルのエモーショナルな側面を訴求する『OMG! GSE』キャンペーンとも完璧に合致し、才能の育成と高い競技基準を融合させ、スポーツ性能と発信力を兼ね備えた新世代のモータースポーツのあり方を提示していきます。」と、高い期待を寄せた。
シュロット氏は世界初の電動ワンメイク・ラリー「コルサ e-Rally Cup」を成功に導いた人物で、若手育成のほか参加者の50%が女性を占めた年があるなど、多様性とアクセスの広さを証明してきた。
史上最速のフォーミュラEマシン「Gen4」が切り拓く先駆的な領域へ挑むにあたり、オペルはその「パイオニア」としてのDNAを最大限に発揮しようとしている。
また、参戦発表の場において、同社のフローリアン・ヒュットルCEOは「モータースポーツは常にオープンで、境界のないものであるべき」という確固たる哲学を表明。プロジェクトの初期段階からドライバーラインナップに「女性の感性(Female Touch)」を取り入れることを野心的に議論してきたと明かしており、今回のフローシュ起用は有言実行の人事となった。

25歳のフローシュは、2015年に英国のジネッタ・ジュニア選手権でレースキャリアをスタートさせ、同選手権における最年少優勝記録を樹立。その後、フォーミュラ4を経て2018年にフォーミュラ3へステップアップした。
同年11月にはマカオグランプリに参戦したが、4周目にフローシュは並走する他車と接触。彼女のマシンはハイスピードのまま宙を舞いバリアへと弾き飛ばされた。一時は選手生命も危ぶまれたが、10時間を超える手術により身体麻痺の危機を回避した。
その後フローシュは過酷なリハビリを開始。当時を「自分がどれほどモータースポーツを愛しているかを実感しました。マシンから離れていた期間は人生で最も長く、寂しさを感じていました」と振り返っている。
事故からわずか半年後の2019年3月にはレースへ復帰。同年末にはふたたびマカオグランプリへと参戦した。その後はFIA F3を経てスポーツカーシリーズへと転向し、ル・マン24時間レースを含むFIA 世界耐久選手権に参戦。昨年はシングルシーターでの挑戦へと戻った。
フローシュとフォーミュラEの最初の関わりは2020年。COVID-19パンデミック下において、ユニセフ支援を目的に開催されたeスポーツシリーズ「ABB フォーミュラE レース・アット・ホーム・チャレンジ」への参戦が、彼女にとってのフォーミュラE初体験となった。
eスポーツから始まったフォーミュラEとの縁は約6年の時を経て、自身の母国であるドイツの技術力を誇るオペルのファクトリーで実を結ぶこととなった。

オペルによると、フローシュはすでにドイツ・リュッセルスハイムの本社にてシミュレーターでの初走行を完了。今後は本格的なテストプログラムに組み込まれ、ルーキーセッション等を通じて実走データのアナライズを担当するなど、開発の最前線をサポートする予定。
史上最速マシンのドライブを目前に控えるドイツ人ドライバーは「フォーミュラEは世界で最も過酷なチャンピオンシップのひとつであり、オペルと共に挑むべき舞台です。125年の歴史を持つブランドが世界選手権に参戦する印象深い出来事に、ドイツ人としてワークスチームの一員になることができ光栄です。Gen4マシンは800馬力以上、全輪駆動を誇るピュアなレーシングカーで、ポテンシャルを最大限に引き出すのが待ちきれません。真のチームワークで成功を収め、ファンの心を掴みたいです。」とコメントした。
また、オペルのレギュラードライバー選定についても注目が高まっている。オペルはメルセデスとの提携を背景にメルセデスF1の開発を担う若手ドライバーを起用するとの見方が強く、すでに複数回のフォーミュラEテストに参加しているテオ・プルシェールや、参戦発表直後からチームとの密接な関係が噂されているジョシュア・デュルクセンらの起用も見込まれている。




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