
オーストラリアの電動化技術の開発を手掛けるFortescue Zero(フォーテスキュー・ゼロ)は9月18日、新たなレーシングチーム「Fortescue Zero Racing」とイノベーションチームを立ち上げると発表した。
2026年12月18日に開幕戦を迎える2026-27シーズンからの参戦を予定しており、実現すればオーストラリア国籍でフォーミュラEに参戦する最初のチームとなる。

PENSKEからチームを引き継ぐ
今回のFortescue Zero参戦は、まったく新しいチームをゼロから立ち上げるものではない。
同社はジェイ・ペンスキー率いるPenske AutosportのフォーミュラE事業を取得し、これまでDS PENSKEとして使用されてきたチームの基盤を引き継ぐ形でグリッドに加わる。
PenskeはフォーミュラEが始まった2014-15シーズンから全シーズンに参戦してきた、シリーズ最古参チームの一つ。
当初はDragon Racingとして参戦し、その後は幾度の名称変更を経て、2022-23シーズンからはフランスのDS・オートモービルと組み「DS PENSKE」として活動してきた。
新体制ではジャガー製のパワートレインを採用。Fortescue ZeroはJaguar TCS Racingとも以前から技術的なパートナーシップを築いており、GEN4ではこれまでとは異なる形でジャガーとの関係を継続することになる。
ジェイ・ペンスキーは今回の発表について「これまでチームとともに築いてきたものや、トップレベルのモータースポーツで戦ってきたスタッフを誇りに思う。」と説明。
さらに「Fortescue Zeroは電動化技術とモータースポーツの分野において明確な目標を掲げています。私たちが築いた強固な基盤をさらに発展させ、将来の成功へと導いてくれるものと確信しています。」と、チームの成功を祈るコメントを加えた。

フォーミュラEを支えてきたFortescue Zero
Fortescue Zeroにとって、フォーミュラEへの関与は今回が初めてではない。
同社はWilliams Racingにルーツを持つ高性能エンジニアリング企業として発展し、長年にわたって電動化技術の開発に携わってきた。
Formula Eでも選手権の初期からさまざまな技術の開発・供給を行っており、Jaguar TCS Racingとの技術パートナーシップに加え、2024-25シーズンと2025-26シーズンには、レース中に急速充電を行う「PIT BOOST」の公式プロバイダーを務めている。

これまでフォーミュラEを技術面から支える立場だったFortescue Zeroが、GEN4では自らのレーシングチームを立ち上げ、グリッドで競争する側へと移ることになる。
Fortescue エナジー&グロースCEOのガス・ピショーは「Fortescue Zeroが10年以上にわたり電動モータースポーツを支え、変革してきた技術の開発に携わってきた」と説明。今回の参戦によって、今度は自らがサーキット上でも競争できることを示していくとしている。
またピショーは、モータースポーツへの参戦を単に宣伝目的の活動とは位置付けていない。
「ピットレーンからグリッドへと進むこと、それが私たちのモータースポーツの物語における『次の章』です。私たちはレースに挑み、勝利を収め、そしてイノベーションを起こすためにここにいるのです。
極限に挑み、限界を押し広げ、競合他社よりも先へ、そして速く進むこと。それがFortescueのDNAです。私たちにとってモータースポーツは、単にチャンピオンのトロフィーを勝ち取るための機会ではありません。それは、レースの枠を超えて産業全体を変革し得る次世代の優れた技術を開発・検証し、完成度を高めていくためのプラットフォームなのです。」とコメントした。
レースで開発した技術を鉱山やエネルギー分野へ
Fortescue Zero エレクトロモビリティの最高技術責任者(CTO)を務めるトラビス・ヘスターも、フォーミュラEへの参戦を技術開発の機会として強調した。
「フォーミュラEは電気自動車レースを別のレベルに押し上げ、まったく新しいエンジニアリング上の課題を生み出しています。まさにそれが我々が目指す場所、つまりグリッドの最前線で、難しい問題を解決し、次の競争優位性を見つけることです。」
また、モータースポーツでは性能と効率の限界に近い領域で技術を設計、開発できるとして、レースという環境で実証することの重要性にも言及。
「モータースポーツでは、Fortescue Zeroのエンジニアが性能と効率の最先端で技術を設計・開発できます。バッテリー、ソフトウェア、ハードウェアの技術をレースという過酷な環境で実証し、そこで得られた効率化技術をFortescueの鉱業・エネルギー事業や、Fortescue Zeroの自動車・防衛分野の顧客へと応用していきます。」

同社によると、鉱山で導入されているパワーシステムや急速充電器、バッテリー制御技術などには、モータースポーツを起点として開発され、その後実際の産業用途へ展開された技術が含まれている。
ピショーはこの点についても「レースではわずかな時間差や技術革新が勝敗を分けるのと同様に、鉱山事業の脱炭素化でも技術が重要になる」と説明。
極限環境で作動し、その限界をさらに押し上げられる技術が必要だとして、モータースポーツを技術開発と実証の場として活用していなければ、現在のFortescueの脱炭素化技術はここまで進んでいなかったとの考えを示している。
「GEN4時代にもたらす競争力と革新に期待」
フォーミュラE CEOのジェフ・ドッズは、Fortescue Zeroについて、選手権の開始時からFormula Eとともに歩んできた重要な技術パートナーだと説明。
フォーミュラEは単なるレースシリーズではなく、高いパフォーマンスと新しい技術を生み出すための場であり、Fortescue Zeroはその双方を体現する存在だとしている。
そのうえで「GEN4時代に彼らがもたらす競争力と革新性を見るのが楽しみです。」と期待を示した。

これまでFormula Eで技術を供給する側としてシリーズに関わってきたFortescue Zero。GEN4ではPenskeから引き継いだチームをベースに、ジャガー製パワートレインを搭載して自らレースを戦うことになる。
ドライバーラインアップやチームの詳細については、現時点では発表されていない。
(文=河合優利)




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