
日産は17日、2026/27シーズンからパワートレイン(PT)供給で提携するアンドレッティ・フォーミュラEチームと合同で、Gen4のテストを実施した。日産PTを搭載するアンドレッティがGen4の実車を走行させるのは今回が初めて。

テストの実施は、アンドレッティのジェイク・デニスとフェリペ・ドルゴビッチがそれぞれ自身のソーシャルメディアで公開したことで明らかになった。最大出力600kWとなるGen4では、各マニュファクチャラーが12月のホモロゲーションに向け、開発を進めている。
フォーミュラEにおいて、マニュファクチャラーとカスタマーチームの関係は非常に密接であり、両者は開発段階からデータや技術情報を共有する。レース週末にもデータ共有や合同ミーティングを行い、供給するPTを搭載した車両全体の性能向上を目指す。日産にとっては、アンドレッティとの提携で開発に投入できる走行データとドライバーからのフィードバックが2台分増えることになる。
日産のパワートレイン開発責任者を務める岩瀬拓朗エンジニアは、アンドレッティとの提携はマニュファクチャラーとして「健全な状態」になったと説明する。
「体制が変わらずジェイク(・デニス)とフェリペ(・ドルゴビッチ)がドライブするということは強みの一つであると思っています。開発サイドでは情報共有を強化できるのと、フィードバックをうまく取り込み、よりよい車にできるでしょうから、うまく提携が進むことを前提に進めていきます」
日産は2024/25シーズンまでマクラーレン・フォーミュラEチームにPTを供給していたが、同チームがシーズン終了後にフォーミュラEから撤退。Gen3.5最後のシーズンとなった2025/26は、日産・フォーミュラEチームの2台のみで参戦した。
日産のトマソ・ヴォルペ代表は、カスタマーチームを失ったことについて「非常に大きな影響があった」と明かし、シーズンを通じて開発やフィードバックの面で影響があったことを認めていた。

今回の提携では、これまでポルシェPTを使用してきたアンドレッティの経験も重要になる。アンドレッティはGen3導入初年度にポルシェのファクトリーチームを上回り、ドライバーズタイトルを獲得。2025/26シーズンも三亜E-Prixでワンツーフィニッシュを記録するなど、競争力を示している。
岩瀬氏はアンドレッティを高く評価し、4台体制によってマニュファクチャラーズ選手権で戦う基盤が整ったと語る。
「アンドレッティはこれまでポルシェPTを使用し、ドライバーズチャンピオンシップを獲得したこともありますし、今年は三亜E-Prixでワンツーフィニッシュするなど、強力なリザルトを残しているチームです」
「マニュファクチャラーとして戦うためにはカスタマーチームがいるのが望ましいですから、アンドレッティと提携できたのはチャンスになります。マニュファクチャラーズチャンピオンシップにおいても戦える状況になりました」
Gen3.5時代において、日産は2024/25シーズン、オリバー・ローランドがドライバーズタイトルを獲得するなど高い競争力を示した。一方、チームメートのノーマン・ナトーは2シーズンを通じて41ポイントの獲得にとどまり、ランキングはそれぞれ20位と19位だった。
岩瀬氏も、ローランドにポイント獲得が集中した状況を振り返り、4台体制によるデータ活用に期待を示す。
「日産はオリバー(・ローランド)がひとりでポイントをけん引する形になってしまいましたから、(提携で)日産にとっても2台を活かせるようになることを期待しています。ノーマン(・ナトー)の状況は、来シーズンに向けてどのように別のデータを生かしていくかという状況で、もっと早く取り組みたかったと考えています」
2024/25シーズンはローランドがタイトルを獲得したものの、2025/26シーズンはランキング4位に後退した。Gen3.5の開発初期には日産のマシンは他マニュファクチャラーに対して先行していたものの、シーズンが進むにつれてその差は縮小。特に最大出力350kWを使用する場面では苦戦を強いられた。
なかでも課題となったのが予選だった。各マニュファクチャラーの性能差が縮まり、少しのミスが許容されなくなった競争の激しさが背景にあったという。
「Gen3でのシーズンが進むと各マニュファクチャラーのレベルが上がってきていて、2024/25シーズンに日産が持っていたアドバンテージがどんどん減っているというのを感じています。少しのセッティングのミスだとか、あとは少しのドライバーのミスだとか、そういうのが全部効いて、予選が勝ちにくくなっていました」
しかし、レースでは日産が持つ効率性の高さが強みとして表れた。
「たとえば37ラップをどう走り込むのか作戦を練るという世界では、より(マシンの)効果が出しやすく、効率性の高さという私たちのマシンの強みを出すことができました。マシンが最も表れているのはレースですね」
日産は現在、Gen4の開発を進めている。最大出力が600kWへ引き上げられるほか、常時四輪駆動となり、高速化が進む。強力なGen3時代を終え、岩瀬氏は新たなマシンへの挑戦に強い自信を見せた。
「Gen4は鋭意開発中です。開発と設計には自信を持ってはいます。各メーカーがすでに走行し、1回作ったものをずっと改善、改善、問題を見つけたら改善、改善っていうのを今繰り返している段階なので、その真っ只中にいます」
順調に開発が進むポルシェと並ぶ速さを持つとみられている日産のGen4だが、開発において最も重要な要素は従来と変わらず効率性の高さであると分析する。
「常時4輪になり、パワーがすごい増し、ダウンフォースが増えるなどいろいろな変更点がありますが、レースの勝敗に関わる一番重要な要素はやはり効率であることは、レースにおいては変わらないかなと考えています」
「ただ、フロント出力が大きく向上するので、車両バランスがプラスアルファで重要なポイントにはなってくるかなと。Gen3よりも重要なファクターにはなってくるかなと思っています」
ABB FIA フォーミュラE世界選手権2026/27シーズンは、今年11月16日にスペイン・マドリードで開催される公式テストで幕を開ける。そのテストを経て、ホモロゲーションまでにいかに最適な状況を確保できるかが来シーズンを占う重要な要となる。
(文=矢野 巧)







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