
ポルシェ・フォーミュラEチームは、ABB FIA フォーミュラE世界選手権2025/26シーズンにおいてパスカル・ウェーレインがドライバーズチャンピオンを獲得。最も成功したメーカーとしてGen3時代を締めくくった。
Gen3が導入された2022/23シーズン以降、「Porsche 99X Electric」とともにポルシェは3度のドライバーズタイトル、1度のチームズタイトル、2度のマニュファクチャラーズタイトルを獲得。合計6回のタイトルを手にしたポルシェは、来季フォーミュラが導入する史上最速のマシンGen4とともに、新たな時代を迎えようとしている。

ポルシェ・フォーミュラEチームのフローリアン・モドリンガー代表は、Gen4時代におけるフォーミュラE参戦の意義について、モータースポーツを技術開発の場として活用し、その成果を市販車へ迅速につなげられる点にあると説明する。
「電気自動車を用いた非常に若いシリーズであり、若い技術があります。モータースポーツにおいて新たな技術を扱う際に常に行われることですが、限界を押し広げ、それを素早く市販車へと技術転換していきます。市販車もまた、非常にスピーディーにそれに追従していきます」
特にドイツの大手メーカーにとっては、研究開発に関わる一部のコンポーネントを自社開発できることが重要な意味を持つという。モドリンガー代表は、電動モータースポーツの将来を考えた場合にも、フォーミュラEが重要な開発の場になると強調した。
「フォーミュラEにおいて、研究開発に関連するパーツの自社開発が許されているという点が重要なポイントであり、それが一つの参戦要因です。さらに、将来の電動モータースポーツを形成していきたいと考えるならば、フォーミュラEを避けて通る道はありません」
Gen4の導入とともに、フォーミュラEは2026/27シーズンに史上最多のカレンダーを展開する。モドリンガー代表はこの拡大された開催地と市場について、メーカーにとって十分な魅力を持つカレンダーだと評価する。
「トラックは非常に魅力的です。ブランズハッチやザントフォールトが加わるうえ、オースティンがアメリカの2回目のレースとなりカレンダーにおいて重要な意味を持ちます。さらに、日本のレースに、中国で2ラウンド、そして多くの欧州ラウンドが開催されます。非常に満足感の高い楽しみなカレンダーです」
2027年の東京E-Prixは最終戦として開催される予定で、日本企業のTDKをパートナーにもつポルシェにとっても、日本市場でフィナーレを迎えることは重要である。加えて、車体が大型化するGen4では、レースの難しさも増すとモドリンガー代表は見ている。
「日本でレースが開催されることは極めて重要であり、東京でシーズン最終戦を迎えられるのは素晴らしいことです。マシンがより大きくなるため、東京市街地コースではチャレンジングなレースとなるでしょう。しかし、FIAとフォーミュラEはマシンに合った最適なコース設定をしてくれると信じています」
そのGen4マシンについて、各マニュファクチャラーは12月初旬に予定されるホモロゲーションに向け、開発の最終段階に入っている。Gen3からの性能向上に加え、開発対象となるシステムが増えたことで、マシン全体の複雑性も高まっている。
「Gen4マシンは非常に複雑なマシンです。Gen3で備わっていた要素に加え、ダウンフォースが増加し、パワーが増し、理解しなければならない新しいタイヤが導入されます」
「さらに、フロントおよびリヤアクスルにはアクティブ・ディフレンシャルが搭載されます。常時全輪駆動と相まって非常に複雑なシステムとなりますので、パフォーマンスのすべての領域を真剣に評価・分析する必要があります」
また、ワイザッハ製のGen4開発について、性能を引き出すためのパフォーマンステストを進めていると明かした。初期段階ではポルシェが開発したハードウェアやシステムと、フォーミュラEが供給する共通部品との統合を進め、マシンを実際に走行させるという目標を達成。そのうえで現在は、各領域の性能を最大限に引き出す段階へと移行している。
「自分たちで開発したハードウェアとシステムをフォーミュラEが供給する共通部品と統合し、それらをマッチングさせることを最初のテストで実施し、車をトラック上で無事に走らせるという目的は非常にうまく達成できました。現在はあらゆる領域でポテンシャルを最大限に引き出すパフォーマンス・テストの段階に入っています」
Gen3時代に最も成功を収めたマニュファクチャラーとして歴史に名を刻んだポルシェ。Gen4において、マシンの性能向上とともに開発領域も広がり、各システムの統合や性能の最適化がこれまで以上に重要になる。史上最速のフォーミュラEマシンを迎えるなか、ポルシェは新たな技術競争へと踏み出している。
フォーミュラEの新たなシーズンは、11月16日から20日にスペイン・ハラマで開催される公式テストで幕をあける。
(文・インタビュー=矢野 巧)








コメント(0)
コメントを残す