
ABB FIA フォーミュラE世界選手権第14戦・第15戦の東京E-Prixは、雷鳴とともに幕を開けた。
19時にスタートが予定されていたFP1直前まで、東京ビッグサイト周辺では激しい雷雨が続いていた。17時から1時間ほどの間、パドックにいる全チームクルーには建物内への避難指示が出されていた。雨はセッション直前に上がったものの、コース上の至るところに水たまりが残っている状態でスタートを迎えた。
FP1は予定から15分遅れの19時15分にスタート。気温はそれほど高くないものの、湿度は89%に達し、夜の東京は息苦しいほどの蒸し暑さに包まれた。
コースに出たマシンは、序盤から難しいコンディションに苦しめられる。
特にフルブレーキングが求められるコーナーでは、タイヤが甲高いスキール音を響かせた。水たまりに乗った瞬間、車体が左右に大きく振られ、ドライバーはステアリングを細かく修正しながらマシンを押さえ込む。
残り24分の時点で、ミッチ・エバンス(ジャガー)が無線でマシンの底打ちが激しいと訴える。路面の凹凸を越えるたびにフロアが路面へ接触しているようで、エバンスはピットへ帰還。チームはカウルを開け、マシンの確認作業に入った。
オリバー・ローランド(日産)は1コーナーで水たまりに乗り、ブレーキングで止まり切れずにオーバーシュート。エスケープゾーンへ逃れた後、スピンターンで向きを変えてコースへ戻っている。
セッション折り返しの時点でトップに立っていたのは、マヒンドラのニック・デ・フリース。
その後、3コーナーではアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(ジャガー)とセバスチャン・ブエミ(エンビジョン)が軽く接触した。両車は走行を続けたものの、この一件には審議が出される。
残り15分になると、ニック・キャシディ(シトロエン)がトップタイムを記録した。
しかし、セッション開始から30分が過ぎても、路面が明確に乾いてきた様子はない。場所によっては依然としてマシンの後方から大きな水しぶきが上がり、ラインを少し外すだけでグリップを失う状態が続く。
ローランドはターン7を通過した際、「まるでラリーカーだよ」と笑いながら無線で報告。道幅が狭く、路面の凹凸も多い東京の市街地コースは、雨によってさらに荒々しい姿を見せていた。
残り5分を切ると、走行ライン上の水がようやく減り、各車は一斉に最後のタイムアタックへ向かう。ここからは、目まぐるしく順位が入れ替わった。
狭い東京のコースでは、速さだけでなく前方のスペースを確保することも重要になる。アタック中に前のマシンへ追いつく車、間隔を空けようと減速する車、ピットからコースへ出てくる車が入り乱れ、クリーンラップをまとめるだけでも一苦労な様子。
ローラ・ヤマハ・ABTのルーカス・ディ・グラッシをはじめ、十分なアタックを完了できないドライバーも何人か見られた。
最終的にトップタイムを記録したのは、マヒンドラのエドアルド・モルタラ。
チェッカーフラッグが迫るなか、モルタラはそれまでのトップタイムを0.228秒更新。東京E-Prix最初の公式セッションを首位で終えた。
2位には、今シーズン苦戦が続くマキシミリアン・ギュンター(DSペンスキー)。3位には、リバティーウォークとのコラボレーションリバリーをまとったジェイク・デニス(アンドレッティ)が入った。
走行終了後、各車はスターティンググリッドへ移動し、スタート練習を実施した。
ナイトレースで実施される東京E-Prixの週末の中で、今回のFP1は唯一夜に行われるフリープラクティスだ。照明の見え方や路面温度など、ナイトレースに近い環境で実走できる時間はこの40分間しかなく、各チームにとってはレースシミュレーションを行うための貴重な機会でもあった。
ウェットコンディションとなったなか、さらに不安定な天候が予想されている週末にで輝くのは誰なのか。反対に、最後まで歯車の噛み合わない週末を送るのは誰なのか。
セッション終了から約5分後、コースには再び雨が降り始めた。
東京E-Prix 2026 FP1結果
1位 エドアルド・モルタラ(マヒンドラ)
2位 マキシミリアン・ギュンター(DSペンスキー)
3位 ジェイク・デニス(アンドレッティ)
4位 パスカル・ウェーレイン(ポルシェ)
5位 アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(ジャガー)
6位 ニック・デ・フリース(マヒンドラ)
7位 ダン・ティクタム(クプラ・キロ)
8位 ニック・キャシディ(シトロエン)
9位 ノーマン・ナト(日産)
10位 ミッチ・エバンス(ジャガー)
11位 テイラー・バーナード(DSペンスキー)
12位 ジョエル・エリクソン(エンビジョン)
13位 ジャン=エリック・ベルニュ(シトロエン)
14位 ニコ・ミュラー(ポルシェ)
15位 オリバー・ローランド(日産)
16位 フェリペ・ドルゴヴィッチ(アンドレッティ)
17位 セバスチャン・ブエミ(エンビジョン)
18位 ゼイン・マロニー(ローラ・ヤマハ・アプト)
19位 ルーカス・ディ・グラッシ(ローラ・ヤマハ・アプト)
20位 ペペ・マルティ(クプラ・キロ)
(文=河合優利)









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