
ABB FIA フォーミュラE 世界選手権の競技審判団は16日、DSペンスキーのソーシャルメディア・マネージャーであるカーシフ・ラシュダン氏(Kaashif Rushdan)に対し、モナコE-Prix期間中のアクセス権のはく奪と、1,500ユーロ(約28万円)の罰金を科した。
これはラシュダン氏がモナコE-Prix初日の早朝において、セーフティカーが走行している期間中のトラック内に立ち入ったためである。
インシデントが発生したのは16日の6時34分、「フルスケール・トラックテスト」の実施中。同氏はセーフティカーが周回している間にターン1からコース内に立ち入り、ピットレーン入口までコース上を歩いたとされる。
この日、6時20分以降はトラック上が「LIVE」ステータスとなり、人の立ち入りが厳しく制限されていた。同氏が保有していた”紫パス”ではLIVE中のトラックへのアクセスは一切禁じられており、スチュワードはこの状態のサーキットへの立ち入りが、FIA国際モータースポーツ競技規則第12条2.1.h項「不安全な状況を招く、明らかな不安全行為」ならびに、2025/2026年 FIAフォーミュラE 世界選手権競技規則第30.24条「ドライバーおよび/またはチームに関連する人員は、公式タイムテーブルに記載されているトラックウォークの時間帯のみ、コース内への立ち入りが許可される。」および付則6(後掲)に該当すると判断した。
スチュワードは、警備員が誤ってそのルートを指示した可能性があることを留記した。しかしながら、同氏が数年にわたりフォーミュラEに携わる経験豊富なチームスタッフであり、LIVEトラックへの立ち入りが許可されていないことを認識していたはずであると指摘。適用されるクレデンシャルおよび安全規則を遵守する責任を免除するものではないとしている。
審議会において、DSペンスキーのチーム代表とラシュダン氏は謝罪。スチュワードはその謝罪を受け入れた。

フォーミュラEのイベント開催中、コース上は「LIVE」と「NON-LIVE」のふたつのステータスに分かれており、マシンやセーフティカー、プロモーター車両の走行がある時間帯はLIVEとなる。
16日、6時20分にトラックがLIVEとなり、6時30分から45分のあいだに「フルスケール・トラックテスト」としてセーフティカーがコースをチェックしていた。6時45分から7時まではフルスピードでの走行やレース中の導入手順を訓練する「セーフティカー・エクササイズ」が実施されている。
7時30分からはFP1が始まる過密スケジュールの週末において、重大な事故につながりかねない危険性の高いインシデントであった。
なお、これらのスケジュールはフォーミュラE公式文書において、公式スポーティングタイムテーブルとして5月11日13時に掲示された。

チーム職員が保有するアクセス権は役職やエリアによって4種類に分類されており、「黄色」と「紫」のパスに分かれる。ソーシャルメディア・マネージャーに与えられるパスは紫で、チーム職員のうち「非運営者(非競技者)」が対象。アクセスできる範囲は極めて限定されており、LIVEトラックの立ち入りはもちろん、NON-LIVE時以外のガレージ内の滞在(VIP観覧エリアを除く)、ピットレーンやグリッドアクセスも原則許可されない。さらに、ガレージ内でのラップトップの使用や、エンジニアエリア、アッセンブリーエリアへの立ち入り、車両への接触も禁じられている。
フォーミュラEは、すべての関係者の安全を守るためにアクセス範囲を厳格に定めている。FEnavi!記者の取材時も、義務づけられたセーフティー・ブリーフィングを受けた上で、トラックサイドでの撮影やパドック取材を許可されており、各所にアクセスする際には適切なパスの提示やトラックステータスの確認が必須となっている。
危険をともなうモータースポーツにおいて、稼働中のトラックに立ち入るという極めて危うい事案が発生してしまったが、大事に至らなかったことが幸いだ。
(文=矢野 巧)





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