フォーミュラE、「モータースポーツの頂点に導く」Gen4の実走を初公開。単なる進化ではなく「ステップチェンジ」へ。

フォーミュラE、「モータースポーツの頂点に導く」Gen4の実走を初公開。単なる進化ではなく「ステップチェンジ」へ。

 4月21日、フォーミュラEとFIAは南フランスのポール・リカール・サーキットで次世代マシン「Gen4」を公開した。これはシーズン13(2026/2027)から導入される予定で、フォーミュラEを新たな次元へと引き上げる画期的なマシン。今回ラ・カステレで初めて公式に走行が披露された。

Gen4マシンのこけら落としを担うジェームズ・ロシター。 Photo: Simon Galloway/LAT Images

 Gen4は予選モードで最大600kW(約815馬力)、レースモードでは450kWという、現行のGEN3 Evoから50%ものパワーアップを果たした。その加速性能は驚異的で、0-100km/h加速は約1.8秒、0-200km/h加速はわずか4.4秒を記録。最高速度は335km/h以上に達する。
 また、常時全輪駆動(AWD)を採用した唯一のシングルシーターマシンとなる。アタックモード時には現行車両のベース出力の71%となる最大600kWの出力を生み出し、予選モードでは1周あたり平均10秒のタイム短縮が見込まれている。

 ジャガーの最新シミュレーションによれば、モナコ市街地コースのストレートにおいて277km/hを記録。これは最初のマシンであるGen1から80km/h以上、Gen3 Evoからも30km/hものスピードアップを意味する。

LE CASTELLET, FRANCE – APRIL 21: A general view of the GEN4 Formula E car during the Formula E GEN4 Launch at Circuit Paul Ricard on April 21, 2026 in Le Castellet, France. (Photo by Simon Galloway/LAT Images)

 FIAフォーミュラE競技長であるパブロ・マルティーノ氏は、「このマシンは世界で2番目の性能を持つシングルシーターになると確信している。」「私たちはフォーミュラEという電動モータースポーツを単なる「電動自動車の頂点」ではなく、「モータースポーツの頂点」に導くことができる。」と自信をのぞかせる。

 このマシンの革命はスピードだけに過ぎない。主要コンポーネントに20%以上の再生材料を使用し、世界初の「100%リサイクル可能」なレーシングカーを実現。回生エネルギーは最大700kWに到達し、レース中に使用可能なエネルギー量も現行比で43%増加している。

 また、強力なパワーを支えるのは日本のブリヂストンが供給するタイヤだ。天然ゴムの認証を受けた30%を含む65%の天然・再生材料で構成されており、グリップ性能は従来比で10%向上している。また、バッテリーにはレアアース鉱物を一切使用していないものが搭載される。

 モータースポーツの頂点へと向かうこのマシンの導入を通し、フォーミュラEは企業の社会的・環境的責任を評価する国際認証であるB Corp認証を受けた唯一のスポーツとして、その真価を発揮しようとしている。

Photo: Simon Galloway/LAT Images

 競技面では、ドライバーへの挑戦をよりコンペジティブかつ包摂的なものにするための改良として、手のクリアランスを確保するための広いコクピットや、ステアリング負荷を軽減するパワーステアリングが導入。
 二年連続で開催してきた女性テストのGen4時代における継続はすでに明かされているが、パワーステアリングの実装は、これに大きく貢献している。

 マルティーノ氏は、「四輪駆動はEVモビリティの重要な要素で、これはフロントモーターとリアエンジンの電気技術の恩恵です。」と、競技経験を実社会に反映する「Race-to-Road」が重要だと語る。
 Gen4において、トラクションコントロールは各参画メーカーの開発領域となるが、同氏は「独自のソフトウェア開発を通し、いかに効率的なパワートレイン構築を行えるかが重要になります。これらを通して得た学びは、EVモビリティへ転移させることができます。」と、自動車メーカーにとって実社会への反映を促す魅力的で訴求力な側面を強調した。

Photo: Simon Galloway/LAT Images

 一方で、高速化に伴う市街地コースの減少やバトルの変化への懸念に対し、ジェフ・ドッズCEOは「適切なコース選定とフォーマット構築により、1レース200回以上のオーバーテイクが発生するフォーミュラEのDNAを維持する」と言及。さらに、レース中にバッテリーの約10%の充電を短時間で行う「ピットブースト」についても、「現在の技術は何でもできる「真っ白なキャンバス」があるようなもの。”30秒で10%”である必要はありません。」と、次なるステップへの挑戦を示唆した。

 同氏は「Gen4は私たちの力強い宣言です。5年前には電気自動車では不可能だと思われていたレベルのパフォーマンスを今、提供しています。スピードやパワーからコース上での挙動に至るまでパフォーマンスの向上は即座に明らかであり、これは単なる進化ではなく、今後何年にもわたってモータースポーツを再定義する「ステップチェンジ」です。」と力強く語った。

 フォーミュラEとFIAはこれまでに6,000kmを超えるテスト走行を重ねてきたほか、Gen4へ参画するポルシェ、ジャガー、日産、マヒンドラ、ローラ・カーズ、ステランティスもすでに多くのテストを実施してきた。
 今回、ポール・リカールでは全6メーカーのマシンによるテスト走行も開始される予定だ。

(文=矢野 巧)

前の記事ポルシェが新型GEN4マシン、【PORSCHE 975 RSE】を発表
次の記事フォーミュラE、「モータースポーツの頂点に導く」Gen4の実走を初公開。単なる進化ではなく「ステップチェンジ」へ。

コメント(0

コメントを残す