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「夢を現実にしてみせた!」ローラ・ヤマハ・ABT代表らが語る”初優勝”

5日に中国・上海で開催されたABB FIA フォーミュラE世界選手権の第13戦で、ローラ・ヤマハ・ABTフォーミュラEチームが、参戦2年目にして初の優勝を飾った。

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「夢を現実にしてみせた!」ローラ・ヤマハ・ABT代表らが語る”初優勝”

 5日に中国・上海で開催されたABB FIA フォーミュラE世界選手権の第13戦で、ローラ・ヤマハ・ABTフォーミュラEチームが、参戦2年目にして初の優勝を飾った。チャンピオンに輝いた実績を持つルーカス・ディ・グラッシが「人生にはリスクを取らなければいけない時がある」と語った通り、グリッド最後方から雨の中でドライセットアップを用いるという戦略で、表彰台の頂点をつかみとった。

 ローラ・ヤマハ・ABTのチーム代表を務めるマーク・プレストン氏は、興奮冷めやらぬレース直後に心境を語った。
「2年目となる今季、ローラ・ヤマハ・ABTとしての初勝利を届けることができて、興奮が止まりません。チームにとっても、ルーカス(ディ・グラッシ)にとっても最高の気分です」

 自身がCEOを務めていたDSテチータ時代に2度のチャンピオンを獲得する輝かしい経歴を持つプレストン代表。。フォーミュラEの世界で優勝をすることの大変さを知るオージーからは、パワートレインを製造するヤマハ発動機との2年間の努力も明かされた。
「ヤマハの皆さんのおかげで、この2年間ハードワークを積み重ねてくることができました。プレッシャーも多く、本当に大変な道のりでしたが、ついに初の優勝を獲得することができました」

 参戦2シーズン目での優勝という快挙は、チャンピオンシップ争いの常連であるジャガーやポルシェをはじめとする多くの参画マニュファクチャラーの初優勝記録を凌ぐ。
「2年でここまで来られたということは、ジャガーなどの競合マニュファクチャラーよりも早く表彰台の頂点に到達できたことを意味します。シーズンを締めくくるにあたって、東京、そしてロンドンでの残り4レースに向かう上で、これ以上ないほど最高な結果となりましたね」

 2年目を迎えるチームにとって、今季の目標は「年間を通じて着実にマシンを向上させ、デュエル予選に進出し、毎レースでポイントを持ち帰ること」だと話していたプレストン代表。その言葉通りに第10戦以降、3戦連続でポイントを獲得するなど安定したパフォーマンスを発揮し始めていたチームだが、表彰台への登壇は「夢」だと思っていたと明かした。
「表彰台は『夢』でしたが、私たちはそれを現実にしてみせました!」

「東京e-Prixで日本のファンの皆さんに会えるのを楽しみにしています。レースでは皆さんをワクワクさせるような最高のパフォーマンスをお見せしたいと思っています」

 フレッド・エスピノス副代表も、「今日はもう最高の気分としか言いようがありません」と喜びを語った。
「本当に嬉しく、誇りに思っています。全員にとっての大きな報いです。今夜のカラオケでの祝勝会は、間違いなく素晴らしいものになると断言できますよ」

 フォーミュラEのスポーティングダイレクターとしての経験を活かし、チームの副代表として競技面でのパフォーマンスを支えるエスピノス副代表は、「ハードワーク」こそが優勝の鍵であったと語る。
「鍵となったのはハードワークです。私たちは懸命に働いてきましたからね」
「グリッド後方にいるときはさらに大変で、より一層多くの仕事をこなさなければいけません。この優勝は全員の多大なる努力の成果で、決して運ではありません」

 第13戦を迎えるにあたり、早朝のフリー走行から手ごたえを感じていたというエスピノス氏。「何か」を成し遂げられる予感はあったというが、それを大きく上回る最高の結果を獲得することができた。運に頼らない確実な勝利を通じ、さらなる成長を確信しているようだ。
「今朝(のFP3)からペースとスピードがありましたから、何かを成し遂げられるという予感はありました。ポイント獲得は固いと期待していましたが、勝利はその上を行くものでした」
「これは全員の大きな努力に対する素晴らしい報いです。このチームが実行力においていかに優れているかを証明しましたね。自分たちが何をしているのかを理解していますし、プロフェッショナルであり、優れたチームです。私たちは今後、さらに良い結果を残すに値するチームです」

互いをたたえるベルニュ(左)とディ・グラッシ(右)
Photo: Joe Portlock/LAT Images

 チームに勝利を捧げたディ・グラッシは、フォーミュラEの初レースである「2014 北京 E-Prix」で優勝を果たしている。以降、すべてのレースに参戦している彼の豊富な経験は、新規参戦のチームに大きな影響を与えている。
 エスピノス副代表は、優勝を決定づけた“ドライセット”の戦略を提案したディ・グラッシを「彼はまさにそういうドライバーなのです」と表現した。
「レース後に『戦略は完璧だった』と言うのは簡単です。なぜなら、こういう状況では、ヒーローになるかゼロになるかのどちらかだからです」

「上位グリッドからスタートしたゼイン(・マロニー)は、リーダーたちの動きに追従し上位に留まるという通常の戦略を選択しました。一方ルーカスは、ドライ用のセットアップで勝負を仕掛け、アタックモードをすべて終盤に残しておくという賭けに出ることにしました。そして、これが今日の勝敗を分けました。終盤にはトラックがほぼ乾いており、ルーカスは2回のアタックモードを完璧なタイミングで完璧に使いこなしました」

「彼は北京以降も多くのレースで勝っていますし、多くの経験を積んだトップクラスのドライバーです。今日のレースのような日は特にそれが見て取れたはずです。表彰台の最上段に立てたのは決して運ではありません。1位はルーカスで、2位はジャン=エリック・ベルニュでした。2人とも非常に経験豊富なドライバーですからね」
「今日のような、路面が濡れている状態で、ドライ用のセットアップでレースをスタートするような日には、非常に優秀で経験豊富なドライバーが必要になりますから」

 上海での優勝を経て、チームはヤマハ発動機のホームレースである東京へと向かう。昨季はグループ予選で首位を獲得するなど、速さを明確に示していた相性の良いトラックだ。
「昨年、東京では非常に速く、6位という良い結果を残しました。それに、一度勝てばまた勝てるものです。東京は素晴らしく、そしてミスを犯すのがとても簡単な非常に難しいトラックですから、すべてをうまくまとめ上げ、忍耐強く臨むことが必須です。東京の夜に私たちが輝けることを願っています」

「それに、フランス人の私が言うのですから間違いありませんが…東京は世界一食事が美味しい場所です。また良い結果を残せるのを楽しみにしていますよ」

 さらに、今年の東京E-Prixは、ヤマハにとって最も特別な週末のひとつを過ごすことになりそうだ。
「東京はもちろんヤマハにとって特別な場所です。実は、トロフィーをすべて東京に持って行き、ヤマハの皆さんに披露するつもりです。これはヤマハのみんなの勝利でもありますからね」

 レースの振り返りや東京への高まる思いを語ったエスピノス副代表。さらに、今季限りでの引退を発表している中、フォーミュラE史上初レースでの優勝から161戦後の上海において再び表彰台の頂点に上ったディ・グラッシについて、FIAのフォーミュラE選手権マネージャーとして発足当時から選手権を知るエスピノス副代表は、ベテランの引退まで残り4レースを迎えた今の心境を明らかにした。

「そして、これが彼にとって最後のレース勝利にならないことを願っています」

 ヤマハ発動機のプロジェクトリーダーである梅田泰宜氏は、ヤマハのホームレース直前に果たした優勝に「ようやくここまで来れた」と喜びを語った。
「今回、ローラ・ヤマハ・ABTとして初めて優勝できたことを本当に嬉しく思っています。ヤマハがフォーミュラEに参戦してからもうすぐ2年になりますが、ようやくここまで来られたという実感を抱いています」

 パワートレインを供給するヤマハ発動機にとっても、ベテランのディ・グラッシの経験が勝利に導いてくれたと明かした。
「これまでルーカスと約2年間、共に仕事をしてきました。特にローラやヤマハのメンバーにとっては、フォーミュラEへの参戦は初めての挑戦でした。ルーカスの豊富な経験が私たちを大いに支え、導いてくれたからこそ、毎戦毎戦、チームとして成長することができたのだと確信しています」

「ルーカスは2014年の北京大会で優勝を飾りましたが、今年でフォーミュラEから去ることが決まっています。その彼が、自身にとって最後の中国ラウンドで優勝できたことには、何か運命的な縁のようなものを感じずにはいられません」

 優勝のトロフィーとともに母国へ凱旋するヤマハ。だが、今回の優勝だけで満足せず、残るシーズンでのさらなる活躍を誓った。
「シーズンはここから、東京、そしてイギリス・ロンドンと、まだ4戦が残されています。今回素晴らしい結果を残せたことはチームの大きな自信となり、今後の戦いに向けて非常に良い追い風になるはずです。残り4戦でも再び好結果を出せるよう、しっかりと準備をして臨みたいと思います」

 ローラ・カーズCEOのミシェル・チェティ氏も、現地で見届けた初優勝に高まる気持ちの中インタビューに応じた。
「チームの誰もがここに至るまでのすべての週末を通じて本当に努力を重ねてきました。チームが一丸となり、優勝が可能だと本気で信じて素晴らしい仕事をしてくれました」
「そして、ルーカスのすばらしい功績です。彼は長くこの世界にいる経験豊富なドライバーです。冷静さを保ち、最後方から前方へと順位を上げてくれました。今回の結果は、チーム全体が積み重ねてきたハードワークの成果を象徴していると思います」
「そして、ヤマハのみんなのためにも、今回のような結果を残したいと考えていました。現在の私たちは一貫してポイント圏内でフィニッシュできるようになってきており、本当に特別なものを築き上げつつあります。次の東京でも、しっかりとした結果を残したいと強く思っています」

 ローラ・ヤマハ・ABTは、優勝チームとして日本・東京でのナイトレースに挑む。参戦2年目のシーズン12も残り4戦と最終盤を迎えたなか、さらなる高いパフォーマンスと最高の結果に期待が高まる。

(文/写真・インタビュー=矢野 巧)


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