
第11戦 三亜E-Prixの決勝レースは、予選でフロントローを独占したアンドレッティ・フォーミュラEの2台が主導権を握る形で幕を開けた。ポールポジションのジェイク・デニスと、2番手のフェリペ・ドルゴヴィッチは、序盤から巧みに順位を入れ替えながらエネルギーをセーブ。後続を抑え込むコントロールを見せ、レースは比較的スローペースで推移していった。

動きがあったのは7周目。ポルシェのパスカル・ウェーレインがドルゴヴィッチを捉えて2番手に浮上すると、翌8周目にはトップのデニスをもオーバーテイク。アンドレッティのコントロールを打ち破り、レースの先頭へと躍り出た。これに呼応するようにミッチ・エバンス(ジャガー)も順位を上げていく。
中盤に入ると、タイトな市街地コース特有の接触が相次ぐ。10周目にニック・デ・フリース(マヒンドラ)が接触を起こすと、翌周には同じコーナーでチームメイトのエドアルド・モルタラも接触。フロントノーズを破損してしまう。さらに18周目には、ダニエル・ティクタム(クプラ・キロ)がエバンスに追突。エバンスはリアウィングを失うダメージを負った。走行に支障はなかったものの、この接触が後に大きな影響を及ぼす。

そして19周目、ターン9を舞台にルーカス・ディ・グラッシ(ローラ・ヤマハ・ABT)とアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(ジャガー)の交錯を起点とした数珠つなぎの大クラッシュが発生。コースが完全に塞がったため、レースは赤旗中断となった。この時点で、アタックモードを8分間残しているダ・コスタや日産勢、DSペンスキー勢が戦略的に優位な状況となる。一方、大破したエバンスはウィングのない状態でのピットアウトが認められず、修復中にレースが再開されたことで痛恨のラップダウン。モルタラはここでリタイアとなった。
レースは20周目にセーフティカー先導で再開。ここで動いたのが、予選であえてタイヤを温存し、アタックモードを丸々残していた日産勢だった。22周目、8分間のアタックモードを起動したオリバー・ローランド(日産)がウェーレインらを次々と交わしてトップへと浮上。さらに25周目には、チームメイトのノーマン・ナトーもウェーレインをパスし、日産が2番手と4番手を占める好陣形を築き上げた。

しかし27周目、そのナトーがウェーレインとクラッシュしてリタイア。これによりフルコースイエローが導入される。このアクシデントをきっかけにウェーレインに5秒のタイムペナルティが科されることとなった。
29周目にFCYが解除されると、上位陣は次々と最後のアタックモードを消化。32周目には、5秒ペナルティを抱えるダ・コスタが意地を見せてローランドをオーバーテイクし、コース上のトップに立つ。しかし、その後方から牙を研いでいたのが、序盤にエネルギーを温存していたアンドレッティ勢だった。34周目、デニスがローランドとダ・コスタを鮮やかに抜き去り、再びトップの座を奪い返す。
レースは39周の最終盤へ。4位まで猛チャージを見せていたデ・フリースがアタックを仕掛けるなか、ローランドがまさかのクラッシュ。ランキング上位勢が次々と脱落していくサバイバルレースとなった。
最終的にトップでチェッカーを受けたのはジェイク・デニス。2位にはチームメイトのドルゴヴィッチが続き、アンドレッティは初のフロントロー独占から、見事なポール・トゥ・ウィン、そしてチーム史上初のワンツー・フィニッシュという最高の結末を迎えた。3位には、モナコで表彰台に登り勢いに乗るペペ・マルティが滑り込んだ。


今回の三亜E-Prixは、ランキングトップ4のエバンス、ローランド、モルタラ、ウェーレインが揃ってノーポイントに終わる波乱の展開となり、チャンピオンシップの行方はさらに見通せない状況に。
ローラ・ヤマハ・ABTはルーカス・ディ・グラッシが10位に入り、貴重な1ポイントを獲得。ヤマハはフォーミュラEで初めての3戦連続ポイント獲得となった。
今戦はシーズン最後のシングルヘッダー。ここからは怒涛の3連続ダブルヘッダーで、一気にシーズンフィナーレまで駆け抜ける。
次戦は7月4-5日、同じく中国の上海E-Prixが控えている。
(文=河合優利)
1.ジェイク・デニス(アンドレッティ)
2.フェリペ・ドルゴヴィッチ(アンドレッティ)
3.ペペ・マルティ(クプラ・キロ)
4.アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(ジャガー)
5.マキシミリアン・ギュンター(DSペンスキー)
6.ニック・デ・フリース(マヒンドラ)
7.ニコ・ミュラー(ポルシェ)
8.ジャン=エリック・ベルニュ(シトロエン)
9.テイラー・バーナード(DSペンスキー)
10.ルーカス・ディ・グラッシ(ローラ・ヤマハ・ABT)
11.ゼイン・マローニ(ローラ・ヤマハ・ABT)
12.ジョエル・エリクソン(エンビジョン)
13.エンビジョン・レーシング(エンビジョン)
14.パスカル・ウェーレイン(ポルシェ)
15.ダン・ティクタム(クプラ・キロ)
16.ミッチー・エバンス(ジャガー)
17.オリバー・ローランド(日産)
18.ニック・キャシディ(シトロエン)
19.ノーマン・ナトー(日産)
20.エドアルド・モルタラ(マヒンドラ)









コメント(0)
コメントを残す