
韓国の大手自動車メーカー、ヒョンデがフォーミュラEへの参入を検討している。最近確認された情報によると、最速でも参入はGen4導入2年後の2028年からになるようだ。

ヒョンデは将来的にフォーミュラEへ参入する場合、存在的なパートナーシップについていくつかのチームと協議していると思われている。
またイギリスThe Race紙によると、ヒョンデの参入はGen4が導入されるシーズン13(2026/2027)ではなく、Gen4導入後にメーカーがハードウェア毎新規設計出来るタイミングとなる、2年後のシーズン15(2028/2029)から参入する事になると理解されている。
ヒョンデとパートナーシップを結ぶ最有力候補

そのヒョンデがパートナーシップを結ぶ最有力候補と思われているのは、NEOMマクラーレンフォーミュラEチームであると言われている。両者の交渉は最近、かなり広範囲に渡って行われた理解されている。
ヒョンデのモータースポーツ部門は現在拡大を続けている。2026年には世界耐久選手権へ、ヒョンデのプレミアムブランドであるジェネシスの名を冠して参入する事が既に発表されている。このプロジェクトには、オレカとの技術提携、IDECスポーツ社との運営契約も含まれる。

ヒョンデは他の取り組みにもかかわらず、フォーミュラEに対して真剣に興味を持っている。同社はその多くが完全EVとなる自社の車に対する販売を促進するために、次の10年に向けて多面的である、ワールドワイドなモータースポーツの枠組みを望んでいると考えられている。

マクラーレンは現在、日産と来シーズン(2025-26シーズン)までパワートレインを使用する契約を結んでいる。シーズン13から始まるGen4時代に向け、日産を含め、様々なメーカーとすでに初期協議に入っていると言われる。

こうした話し合いに加え、最近ヒョンデとの協議も始まっており、ヒョンデが参入すれば、マクラーレンはシーズン15から始まるGen4時代における2回目のホモロゲーションサイクルでの提携先として最有力候補になると考えられている。
ヒョンデはその他にも、現在DSのパワートレインを搭載する”DSペンスキー”のペンスキー側とも交渉を持ったことが知られている。ステランティスグループの傘下であるDSは現在もGen4以降の継続が不透明であり、仮にDSが撤退となるとペンスキーは代わりのメーカーを探す必要があるだろう。ペンスキーはヒョンデの他にも、ポルシェとも交渉をしていると思われている。
ヒョンデは、2020年に、EVの製造に向けエレクトリック・グローバル・モジュラー・プラットフォーム(E-GMP)を発表。完全電動化への野心を拡大している。
同社のモータースポーツ部門の技術責任者、フランソワ・ザビエ・ドゥメゾン氏は、電気技術に熱心な支持者として知られている。同氏は、有名なパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムを含むヒルクライムやレーストラックで数々の記録を樹立した、フォルクスワーゲン ID.Rの主要技術設計者の一人である。

マクラーレンの見解

「彼らがフォーミュラEを選択肢として検討していることは、既に秘密ではないでしょう。」とNEOM・マクラーレン・フォーミュラEチーム代表であるイアン・ジェームス氏は語った。
しかし、ヒョンデとマクラーレンの交渉については何も明かさなかった。
仮にヒョンデがシーズン15から参入した場合、マクラーレンは既にGen4ルールセットに登録済みのメーカーと2年間だけパワートレイン供給契約を結ぶ必要がある。これはシーズン9-10でマヒンドラ製パワートレインを使用していたABTが、シーズン11からローラ・ヤマハへ乗り換えた前例がある。とはいえこれはマヒンドラ製パワートレインが創造以上にパフォーマンス不足だった事による、イレギュラーな事例であった。一般的にこのような選択はされないであろう。
しかしヒョンデが早い段階でフォーミュラE参入を決定すれば、もちろんレースでこそは使用されないものの、シーズン15よりもかなり早い段階でヒョンデとマクラーレンが密接にお互いの知識を活用できる事は確かだ。
ジェームス氏はマクラーレンとヒョンデの交渉についてか、詳しい情報は明かさなかった。しかし何がメーカーにとって参入の動機になるかについてはコメントした。
「すべての懸念事項が解決するまで、フォーミュラEへの参入を延期することが賢明な選択だと判断したとしても、それは理解できます。」と彼は語った。
「しかし、私の考えと理解では、彼らは他のメーカーと同様、このシリーズとこのフォーマットが全体的に彼らの戦略に適合するものであると見ていると思います。」
「将来、ヒョンデや他の大手メーカーがフォーミュラEに参入し始めても大きな驚きはありません。」
「Gen4のスタートに向けた課題は非常に厳しい。今から開発プログラムを開始しなければ、最初のシーズンに参加するには不利な立場に立たされます。とはいえ、途中から参加することも絶対に可能です」
フォーミュラE CEOもヒョンデと協議済み

フォーミュラEのCEOであるジェフ・ドッズ氏は、フォーミュラE参入の可能性について、ヒョンデのモータースポーツ責任者であるシリル・アビテブール氏と協議したことを認めた。
「秘密ではないが、私は韓国に行って彼らに会いましたし、役員にも会いました。シリルと私はこの1年で良い友達になりました。」とドッズ氏はイギリスのThe Race紙に語った。
「このような選手権はヒョンデのようなメーカーにとって非常に意味のあることであり、彼らはモータースポーツに更に投資しています。」
「彼らは非常に大規模なメーカーであり、電動化とハイブリッド電動化にも興味を持っています。」
「ですからとても理にかなっていると思います。彼らはまた、タイミングについても非常に賢明です。何かしらのモータースポーツに参入するなら、競争力を持ちたいと考えています。」
「彼らが、我々の選手権に出場するのを見たいと思っています。ヒョンデ側にもそう伝えましたし、彼らはこの選手権がどのようなものになるのか心から興味を持っていると思います。」
「しかし、彼らがGen4時代が始まると同時にグリッドに並ぶ可能性は非常に低いと思います。時間の問題で、彼らがGen4時代には参入しないという意味ではありません。つまり、メーカーの登録に関しては、2026年から始まるシーズン13に間に合う可能性は低いと思います。」
ドッズ氏は、フォーミュラEはメーカーに対し、いつ、どのようにプログラムに参加するかについて、ある程度の柔軟性を提供できると明言した。これはヒョンデにとって魅力的だろう。
「この選手権では、どのメーカーもどの時点でも参加を妨げられることはない」と彼は述べ、ルールの途中で参加することは可能であることを示唆した。
「課題は、彼らが参加できるかどうかではありません。参加したときに、パワートレインの開発やそれに伴うすべてのものへの投資が必要なため、すぐに競争力を持つことができるかどうかでしょう。」
「彼らは素晴らしいメーカーだと思いますし、私たちは良い話し合いをしているところです。」
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