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なぜ東京E-Prix最終戦案が急浮上?物流最適化にDNAを示す最後の砦。契約継続へ導く「3つの理由」

ABB FIA フォーミュラE世界選手権のシーズン13(2026/2027)において、東京E-Prixが7月末に最終戦として開催される案が浮上している。フォーミュラEのシーズンフィナーレといえばロンドンE-Prixが定 …

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なぜ東京E-Prix最終戦案が急浮上?物流最適化にDNAを示す最後の砦。契約継続へ導く「3つの理由」

 ABB FIA フォーミュラE世界選手権のシーズン13(2026/2027)において、東京E-Prixが7月末に最終戦として開催される案が浮上している。フォーミュラEのシーズンフィナーレといえばロンドンE-Prixが定番で、ロンドン以外の都市で最終戦が開催されたのはシーズン8(2021/22)のソウルE-Prixまでさかのぼる。

 もし来季、実際に日本で華々しいシーズンフィナーレを迎えることとなれば、この世界選手権にとって非常に大きな転換期を意味することになる。長年最終戦を務めたロンドンからの交代案急浮上の背景には、深刻化する物流コストへの対策、そしてマシンの高速化に伴う「市街地レースのDNA死守」という側面を見ることができる。

Photo: Sam Bloxham

 ひとつめの要因として、イラン危機をはじめとする地政学的リスクに伴う物流コストの上昇や、フォーミュラEが掲げるCO2排出量削減が挙げられる。
 実質排出ゼロを目指し独・DHLと独自の輸送網を展開するフォーミュラEにも、高まり続けるエネルギーリスクには太刀打ちできない。今季のように、ヨーロッパを転戦したのちに中国や日本でレースを開催し、ふたたびロンドンへ戻り最終戦のみを開催するという世界を行き来するカレンダーは、ロジティクス上の最大のボトルネックである。

 アメリカ大陸での開幕戦ののち、ヨーロッパ、そしてアジアへと向けて一方向に流れるスケジュールを組む上で、極東に位置する東京はロジスティクス上の終着地として非常に魅力的な場所であることは間違いない。
 また、東京戦の直前には三亜・上海での中国二連戦が予想されている。急速なEVシフトを遂げ、イラン危機のさなかアジアにおける脱石油戦略の中心として存在感を高める中国市場は、フォーミュラEにとっても最大の重要マーケットだ。この中国ラウンドから移動し、ふたつのメーカーが参画するほか、多くのパートナーを持つ日本でシーズンフィナーレを迎えるというこの案は、物流の最適化と商業的価値の最大化を同時に叶える現実的なルートだといえる。

Photo: Simon Galloway/LAT Images

 さらに、これまで最終戦の舞台であったエクセル・ロンドンは、屋内と屋外が組み合わさる特殊かつ狭いコースレイアウトであり、史上最速マシンとなるGen4を迎えるにあたり、もはや開催地としてのキャパシティを超えつつある。

 イングランドには、シルバーストーンやブランズハッチといったパーマネントサーキットの候補はあるものの、ヨーロッパの夏の過密なスケジュールの中でさらに世界選手権を迎え入れるにふさわしい準備をするのは難しいだろう。
 今年、シルバーストーンでは7月上旬にF1世界選手権が開催される。来年も同時期開催の場合、さらにフォーミュラEを同月下旬に組み込むとなれば、短期間に2つの世界選手権を連続してホストすることになり、サーキット側の運営や、プロモーター側のプロモーション双方の観点から見ても、現実的とは言えないだろう。 

 そして、来季以降の東京大会開催が現実となれば、どの時期に開催されるとしてもこれまで以上に強い意味を持つことになることは間違いない。

 最高速度335km/hを誇る史上最速マシンGen4の導入に伴い、既存の狭い市街地コースでは性能を発揮しきれず、パーマネントサーキットへの移行を余儀なくされる開催地が増えることはすでに周知の事実だ。さらに近年、サウジアラビア・ジェッダや米・マイアミのように、市街地ながらF1世界選手権と同じ会場での開催が増えつつある。それは歴史と伝統を持つモナコも例外ではない。

 東京ビッグサイトのコースは比較的敷地に余裕があり、関係者も5月時点で「レイアウト変更でGen4のスピードに対応可能」と話している。「電気自動車による市街地レース」というFE本来のアイデンティティを世界に証明する舞台として、シーズンフィナーレにこれ以上ない場所である。

 フォーミュラEの本来の姿である市街地レースとしての価値が格段に高まるであろう来シーズンにおいて、東京大会はさらなる輝きを放つ開催地となり得る。
 日産やヤマハ発動機がグリッドに並び、TDKや帝人といった世界最高峰の技術を誇るパートナー企業が席巻する日本は、フォーミュラEが決して無視できない市場である。

 今回の最終戦案の急浮上は、去就が注目されていた来季以降の開催継続に向けて、これ以上ない明るい兆しが見えた何よりの証左と言えるだろう。6月23日の来季カレンダーの正式発表に期待が高まる。


(文=矢野 巧)


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