
【上海】5日、ABB FIA フォーミュラE世界選手権の第13戦・上海E-Prixが開催された。
優勝を果たしたのはローラ・ヤマハ・ABTのルーカス・ディ・グラッシ。自身4年ぶりの優勝で、昨季フォーミュラEへの参戦をはじめたローラとヤマハ発動機にとってはじめてとなる優勝をもたらした。


「4年間努力を続けてきた」161戦の歴史が紡いだ有終の美
2014年、フォーミュラEの記念すべき最初のレースを制したのもディ・グラッシだった。かつて北京での初レースで表彰台の頂点に登壇したブラジリアンは、それから12年、自身のキャリア161戦目となるここ上海で、再び表彰台の最上段へと返り咲いた。
「競争力があるとは言えないマシンとともに、この4年間懸命な努力を続けてきましたから、様々な感情がこみ上げてきます」
「このレースに勝つこと、史上初のフォーミュラEレースに勝つこと、そして12年を経てここ中国で有終の美を飾るというのは、素晴らしいですね」
19番グリッドからスタートしたディ・グラッシは、フレッド・エスピノス ローラ・ヤマハ・ABT代表代理がのちに“ギャンブル”と表現するような、2回のアタックモードを可能な限り遅らせるという戦略を選んだ。
「今日は正しいリスクを取りました。非常に難しい決断を支持してくれたチームに感謝しなければなりません」
「そして、難しいレースでもありました。本当に厳しかったですが、私たちはすべてを正しく進め、アタックモードも完璧にこなすことができました。それが勝利を決定づけたのです」
「ドライセットで行こう」勝利を決めたレース5分前の決断。
後方グリッドからの追い上げのため、雨の降る中”ドライセット”を選択したディ・グラッシ。タイヤの内圧を下げ、路面温度の上昇に賭けた。レース中ピット内には内圧を上げた”レインセット”のタイヤも用意されており、大雨の場合にはピットインしタイヤを交換するつもりだったという。
「レース直前にジェフ(・ドッズ=フォーミュラE CEO)が『ドライとレインどっちで行くの?』と聞いてきましたが、私はまだわからないと答えましたよ」
「レースまで5分になり、タイヤの内圧について決断を下すことになりましたが、エンジニアに『打ち合わせ通りにいこう』と伝えました。失敗する可能性も大いにありましたが、人生では時にリスクを取らなければならないこともあります」
レース中盤には降り続いた雨がやみ、路面は徐々に乾き始めていくと、”ドライセット”を選んだディ・グラッシは他のドライバーよりも速いタイムを刻み追い上げの走りを始めた。
「中盤に入ると展開が私たちの味方をしはじめました。上位陣よりもコンマ5秒、1秒と速いラップタイムで走りはじめました。レースが自分たちのものになりつつあるのは明らかでした」
「それでも、まだやるべき仕事はたくさんありますし、本当に大変でした。ですから、このようなマシンパフォーマンスの中、非常に熱心に働き、サポートしてくれたチームとすべての人に感謝したいです」
引退まで5戦の中つかんだ優勝に「まだ勝てるんだ!」

今シーズン限りでの現役引退を表明しているディ・グラッシ。フォーミュラEの創設から走り続けてきたキャリアも、残すところあと5戦というところでの優勝は、まさにディ・グラッシのキャリアの証明でもあった。
「ここ中国でフォーミュラEの最初のレースを制した身として、ここでの優勝でキャリアを締めくくる以上の喜びはありません。スタート順位を考えれば取らざるを得ないリスクを最終的に形にすることができ、最終的に勝利を手繰り寄せられたことに満足しています」
「私たちは全力を尽くして働き続けてきました。決して平坦な道のりばかりではありませんが、このような瞬間があるからこそ、我々はすべてを捧げて戦っているのです」
「私は今でもレースで勝てる!」
(文=矢野 巧)









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