
DSペンスキーに続き、2チーム目の新車発表が行われた。10月17日、日産はフォーミュラE世界選手権シーズン11を戦う新マシン「NISSAN e-4ORCE 05」を公開。シーズン9で初公開されて以来、好評である桜モチーフのカラーリングをそのまま継続して採用する事になった。

シーズン11からフォーミュラEでは、新型マシン”Gen3 Evo”が導入される。そのため、今回された日産のマシンもGen3 Evoへとアップデートされている。
基本的にカラーリングはシーズン9からのものと同じである。赤を基本としたカラーリングに、桜のカラーリングが配置されている。ただ、桜のカラーリングはさらに目立つ様に変更された。V字型にマシンの後方まで伸びるデザインは共通だが、シーズン10まではカーボン地であったロールバー周辺に関しても、桜カラーに変更された。HALOやミラーなどはカーボン地のままだ。

その他、日産の車体には至る所に緑の”エレクトロミン”のロゴが配置。これは日産が先日新たにパートナーシップを締結した新しいスポンサーであり(なお関連会社は、過去2シーズンディルイーヤE-Prixでのみロゴ提示)、これは中東のスマートモビリティソリューションプロバイダーである。エレクトロミンのロゴは、過去5シーズンに渡ってパートナーシップを結んでいたロイヤル・ダッヂ・シェルに置き換わる形となった。シェルとは、シーズン10をもってパートナーシップ契約を終了したと思われている。

シーズン11に向け、日産はオリバー・ローランドを継続起用。チームメイトには、これまで23号車をドライブしていたサッシャ・フェネストラズに代わり、ノーマン・ナトーが復帰した。
シーズン10までサッシャがドライブしていた日産のエース車両である23号車は、シーズン11から晴れてオリバー・ローランドがドライブ。ノーマン・ナトーはシーズン9の時と同様、故ジュール・ビアンキに敬意を表した17号車をドライブする。

トマソ・ヴォルペ(日産フォーミュラEゼネラルマネージャー兼日産フォーミュラEチーム代表)のコメント
「新シーズンに向けてワクワクしつつ、GEN3 Evoマシンに精通するために一生懸命取り組んでいます。これまで全てが順調に進んでおり、バレンシアのテストがとても楽しみです。新しいファクトリーの稼働も順調です。この施設を最大限に活用することで、チームの潜在力を最大限に引き出すことができます。これから一緒に戦うナトーは日産チームのクルーをよく知っていたので、すぐにチームに馴染みました。ローランドとナトーという強力なドライバーが揃い、勝利と表彰台獲得に向けて準備が整ったと自信を持って言えます。さらに、今シーズンからはエレクトロミン社が主要パートナーとなりました。コーラル社とコーラルアイウェア社との既存の関係に加えて、素晴らしい企業が私たちを支援しています。我々は、すべてに対し全力を注ぎ、シーズン11でトップを目指します」
オリバー・ローランドのコメント
「忙しかったシーズン10が終わったあと十分にリフレッシュできました。体力的にも精神的にも良い状態でシーズン11に挑めるよう備えています。新しい施設はとても素晴らしく、本当に感銘を受けています。立地も理想的で、より高い目標を目指すことができるでしょう。GEN3 Evoでは、オールホイールドライブ技術を含むいくつかのチャレンジがありますが、初戦から万全の体制で臨みます」
ノーマン・ナトーのコメント
「チームに戻ってこれたことをとても嬉しく思っています。既に、車やシミュレーター、スタッフとも慣れることができています。新しい施設は最高水準の設備です。素晴らしい環境の中でレースの準備やレース後のブリーフィングを行うことができます。新しいカラーリングは本当にクールで、日産チームの日本のアイデンティティを示し、ファンたちも気に入ってますし、サーキット上でも認識しやすいでしょう。バレンシアでのテスト、ブラジルでのシーズン開幕、そしてGEN3 Evo時代のスタートが待ちきれません」
Gen3 Evoで戦われるシーズン11は、2年ぶりに各メーカーがハードウェアを一新する事が出来る年になる。ここから再び2年間のホモロゲーション期間になるため、ソフトウェア以外は再び開発凍結になる予定だ。Gen3 Evoで戦われる2シーズンを最高の形で戦うため、各メーカー現在開発に余念がない。
日産も例外ではない。日産はシーズン11に向け、ギアボックスなどを新設計した、新しいパワートレインを開発中だ。これまでのテストでは、パフォーマンス面でかなり良好との事であり、シーズン11での日産には期待が持てそうだ。
新しいファクトリーも始動

日産はフォーミュラEの2018/2019シーズンである”シーズン5″からフォーミュラEに参戦。当時はルノーe.damsのエントリーを引き継ぎ、”e.dams“と協業の形で参戦していた。2022年に日産は、e.damsの株を100%買収。シーズン9からは日産e.damsではなく、日産ワークスチームとして参戦をしている。

シーズン9の終わりからシーズン10にかけ、日産はファクトリーをこれまでのフランス、ル・マンに位置していたDAMSのファクトリーから、パリ郊外のヴィリー=シャティヨンへ移動。
ファクトリー自体を1から建設し、シミュレーターなど設備も自前で用意した、”日産フォーミュラEチーム専用の”ファクトリーを構える形となった。
この新しい日産のファクトリーは、BWTアルピーヌF1チームのパワーユニット開発拠点の敷地内に位置しており、実際にアルピーヌF1チーム用施設の隣に建設された形だ。

日産は、ルノーグループとのアライアンスを活用し、ルノーの技術も取り入れた電気自動車開発を行っている。
なお日産とアルピーヌの繋がりは強く、シーズン9のルーキーテストではアルピーヌ育成のビクトー・マルタンスが、シーズン10ではガブリエル・ミニが日産フォーミュラEのマシンをドライブした。
シーズン11のプレシーズンテストにおいても、アルピーヌのドライバーが一部日程で日産のマシンをドライブする予定だ。

このファクトリーは、2600平方メートルの敷地内に、ワークショップエリアやシミュレーター、エンジニアリング、管理オフィス、更には展示エリアや会議室、多目的エリアも備えているという。
日産フォーミュラEチームの活躍から、目が離せない。
フォーミュラEのシーズン11は、11月4日から7日にかけてプレシーズンテストが行われ、12月7日にサンパウロで開幕する。





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